<水頭比較による液状化評価指標> についての考察

 

 

大学院生の時分 小生は 無我の縁起として

水理学の大家 林泰造先生より面授の機会に恵まれました

 

 

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阪神・淡路大震災が発生した1995年 振動三軸試験機で液状化の要素試験実施中の小生

東京電機大学理工学部 地盤工学研究室にて

 

 

液状化の要素試験で学位を取得した後のことで

「水理学特論」 における 林泰造先生の御講義は

肩の力を抜いて 水の流れの中に 脈々と流れる哲学を再発見していく というものでした

 

ちょうど 林泰造著 『基礎水理学』 が鹿島出版会より上梓された時期でもありました

 

『基礎水理学』 の序に記された 林泰造先生のメッセージそのものの風景です

 

音楽で例えていえば

MozartBeethovenの音楽のように

譜面づらは技巧派の音楽ほどむづかしくはなくても

その音楽性は底知れぬほど深いものがある。

譜面づらだけを見ず

そこに脈々と流れている音楽性を汲み出すことが必要なのではないか

と思う。

 

Bernoulliの定理に潜む 哲学の再発見は

エネルギー保存則から液状化現象を再考察する機会となりました

 

地震時の地盤の液状化の発生メカニズムは

Seed教授によって “非排水繰返しせん断変形” として再現されたそうですが

液状化現象というのは 実は その発生メカニズムの部分的解明に止まっており

未だ学術的に その構成式が記述されるには到っていないのです

 

それ故に専門書では <液状化発生のメカニズム> として説明がなされています

 

 

それはさておき エネルギー保存則から液状化現象を定義付けることは可能なはずです

 

小生は ベルヌーイの定理における圧力項の理解

流体が単位体積当りにもつ  “圧力のエネルギー”

すなわち 圧力[NL2]=[NLL3] を大切にしていました

 

 

圧力とは どんなエネルギーか?

 

これに対する明確な答えはない

 

圧力は 「内部エネルギー」 というイメージで解されている

 

すなわち 力学的なエネルギーではないが

運動(流れ)の中で 力学的なエネルギーに変化し得るエネルギーである

 

この流体力学の基礎的理解の下に

<水頭比較による液状化評価指標> について想いを巡らした事を思い出します

 

このたびの 3.11東日本大震災における大規模な地盤の液状化現象を機に

小生の拙い発想につきまして 学術的に問題提起させて頂ければと想った次第です

 

地盤工学会における 液状化の定義付けは

“過剰間隙水圧の上昇” や “ひずみの発生” といった

言わば 結果論としての便宜上の定義付けのように想われてなりません

 

液状化現象の考察の際

有効応力の消失=過剰間隙水圧の上昇 の過程において

流体力学的アプローチは可能でしょうか?

 

つまり 先述の “圧力の概念” に立脚して

有効応力の消失と過剰間隙水圧の上昇を

<内部エネルギーの置換> と <力学的エネルギーの働きとしての “ひずみ” の発生>

に区別して考察するのです

 

有効応力水頭=過剰間隙水圧水頭を 初期液状化時点と定義しています

 

一刻も早く

この視点 (= エネルギー保存則) から液状化現象が定義付けられ

地震時の地盤の液状化の挙動が明確に示されていくことが期待されます

 

( 地盤工学会 エネルギーに基づく液状化予手法に関する研究委員会 )

 

1) エネルギーの視点から,液状化予測する手法についてレビューし,その課題を抽出する。

  2) これまでの多種に渡る大量の液状化試験データをエネルギー的観点から、土の液状化抵抗を評価・再整理し、データベースを整える。

  3) 地盤に入力される地震動エネルギーの評価法について、いくつかの方法の比較検討を行う。

  4) 事例解析によって,その適用性を従来法と比較検討する。

 

 

 

平成9(1997)年11月考察録、平成24(2012)年3月11日 公開

 

学士論文 『液状化した土の特性に関する研究』 (東京電機大学)(1996

修士論文 『地震動を考慮した微地形による液状化ゾーニングに関する研究』 (東京電機大学)(1998

 

 

平和都市建築家

広島市長 (候補者)  (まえ) (しま) お さ む

 

 

広島おさむる会 会長

ワールド・ピース・ヒロシマ 代表

防災学術連携体 日本地震工学会 正会員

詩人 測量家 “攻めの防災” 提唱者  修士(工学)(東京電機大学)(1998

 

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