被爆六十周年記念事業 コンセンサス会議
歴史的証言に基づくヒロシマ平和コンセンサスの試み

主催: ワールド・ピース・ヒロシマ
共催: 財団法人広島平和文化センター
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広島市民が考える『ヒロシマの心 これからのヒロシマ』


被爆60年の今日を眺めてみると、地球規模では環境問題、戦争、紛争、宗教対立、日本国内では、教育現場(家庭・社会)での諸問題、安易な殺傷事件、政・経・官にわたる不正事件などさまざまな問題が起こっていることに気づきます。これらの問題は、すべて人間が引き起こした出来事です。
日常、「ヒロシマの心」「これからのヒロシマ」について深く考えたこともない市民パネルにとっては、「ヒロシマの心」って何?「これからのヒロシマって??」という感じで、あまりにも大きいテーマでした。しかし、各市民パネルは平和について何らかの問題意識を持ち、この会議に主体的に参加していましたので、KJ法を利用し、各人が市民の立場で持っている日常の平和を妨げている問題点を率直に出すことから始めました。
KJ
法では、市民パネルから「核兵器廃絶を声高に叫ぶだけでいいの?」「市民主体の平和構築のシステムが出来ているだろうか?」「ヒロシマ市民が核についての正しい情報を得ているだろうか?」「碑文は多くの世界市民の声として機能しているのか?」「活動している組織で、思想信条を自由に表現する機関紙が廃刊になり残念」「核兵器廃絶について考える市民の裾野が広がらないのはなぜ?」等の『鍵となる質問』に結びつく本音がでてきました。
これらの問題意識から歴史的証言者との対話を経て、被爆60年以降を人間が幸せに平和に生き続ける為に『ヒロシマの心 これからのヒロシマ』を考察し、以下のようにまとめました。
歴史的証言者から多くのヒントを頂き、7月からの5ヶ月間、未熟ながら市民の立場で考えてまいりました。行政主導の事業や、特定の平和団体の組織にとらわれることなく、名も、力も、名誉もない一市民が、土俵を同じくして本音で語り合えたことは「これからのヒロシマ」を考える上でとても意味のある時間であり、有意義な会議であったと思います。


ヒロシマの心

1945年 8月6日 8時15分 原子爆弾投下の絶対的事実を再確認し、感じ、考えた、私達市民パネル全員の合意として、核抑止力に代表されるような「力の論理」を、全ての生きとし生けるものを愛する「愛の論理」に変えていくことが、平和を創造していく原点であると認識しました。未来の子どもたちに美しい地球を残す為に、人間同士が傷つけあう事がないように、地球上から核がなくなるように、子ども達の笑顔が未来永劫(みらいえいごう)絶えないように、世界の市民と連帯して主体的に平和を創造していく心を「ヒロシマの心」としました。


これからのヒロシマ

一人の「ヒロシマの心」が平和を創っていく原点であり、ヒロシマの心をここから広く世界に伝える事が、私たちの使命であると思います。その為に「これからのヒロシマ」は、既存の被爆者団体や特定のNGO団体に加え、一般市民が主体となれる新しい平和活動システムの構築の必要性を感じます。
「ヒロシマの心」を世界の市民と連帯させていく為の方法論がいくつか市民パネルから出されましたが、全員の合意事項とした確かなコンセンサスにまとめることはできませんでした。被爆60年平和コンセンサス会議に参加した市民パネルがどう考え、どんな一提言があったのかマイノリティの意見として、又これからの課題として以下に付記しておきます。
また、これからの「平和コンセンサス会議」の課題として、テーマを絞り、一年に一回のペースで生活者の立場で、魂と魂の通う、対話のある「平和コンセンサス会議」を開催したい(して欲しい)という合意を得るに至りました。その積み重ねによってヒロシマから平和が創造されていくように思います。


付記 これからの課題と市民パネルの声

(これからの課題)

これからのヒロシマ具体的提言
「ヒロシマの心」を世界の市民とジョイントさせていく為の方法論

(1案)市民パネルの一被爆体験者から「ヒロシマを訪れた多くの市民の方々に、被爆体験をいつでも直接ひざを交えて話す事の出来るシステム(体制・場)があったら良い」という意見が出た。被爆体験のない市民パネルからも、この被爆体験を次の世代にまで世紀を超えて語り継げるように多くの市民が、直接、被爆体験者から事実をしっかりと聴く事が急がれる課題である、との声もあった。

(2案) 「草の根 世界市民平和コンセンサス会議(仮称)」を実施し、会議参画による平和への問題意識、連帯の促進と広汎化をはかる。会議参画の人達をアトランダムにピックアップするため、平和のシンボルとなるオブジェを製作し、ナンバリングしてこの番号から参画者を募る。これに前年の広島市長の平和宣言の象徴的フレーズが刻まれており、平和公園、平和記念資料館の訪問者が「平和の誓い」を記銘する。購入者による売り上げはプールし、必要経費を差し引いた後、 「草の根 世界市民平和コンセンサス会議(仮称)」の費用に割り当て、残額は紛争被災国(被害国)復興の為に寄付する。このように「草の根 世界市民平和コンセンサス会議(仮称)」を実施することにより市民の連帯と広がりをシステム化する。


(市民パネルの声)

「被爆者援護法ができ、被爆者は医療費免除になったが、このことを批判する市民の声を聞くと、とても心が痛い」

「これからのヒロシマ」は、平和を発信するだけでなく、相手が困っている状況や平和を求めている心を受信していくという所で考えたいと思う。

コンセンサス会議に参加したことで広島に住んでいる意味、責務をより一層感じるようになった。特に憲法9条・24条について暮らしの中でこれが活かされるよう生活したいと思った。

青森県の六ヶ所再処理工場は、原爆材料のプルトニウムを取り出し、放射性物質を放出する。それは、風に乗り、日本中が汚染され、農作物や海産物を通して知らないうちに被爆者を増やしていくことだ。未来を希望に満ちた社会にするために六ヶ所を止める事もこれからのヒロシマの必然だと思う。

「これからのヒロシマ」は真の平和運動が必要になってくる。真の平和運動とは、まず私自身の心を「全ての生きとし生けるものを愛する心」に変容させ、それを自覚し、方法論を選択し、その心で広く世界の市民とジョイントしていく事だと思う。そういう意味で、(前記)これからのヒロシマ具体的提言の1案・2案について賛同する。



平成172005)年11

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