「始まること」への願いと「期待」を込めて

 

 広島で何か新しい取り組みが始まる――。
 シンポジウムの会場、広島大学東千田キャンパスは、参加者のそんな期待感で溢れ、やや興奮気味でもあった。
 2001年9月1日(土)の出来事である。
 “ひろしまパートナーシップ”
 この会は、このシンポジウムの1ヶ月後にスタートしたものである。

 何か新しいことが始まろうとする時、誰しも心浮き立ち、決まって今の枠組みの外に理想を掲げる。が、大切なのは、今、一人ひとりが置かれている日常で、なぜ、今の状況にあるか、を追求してみることではないだろうか。
 この会での議論の場においても、必要とされたものは、すべて行政にあった、と認識している。
 結局のところ、組織がうまく機能していないだけのことなのである。
 批判はせずに、つまり、相手を敵として見るのではなく、同じ仲間(パートナー)として何かアドバイスをしてみて、その回答から、今後へ繋がる何かを見出してみることに価値があり、また、そこから明日への希望が生まれる、と考えたい。
 この会へ参加して私が得たものである。
 この会の発足に後押しされ、社会貢献を志した直後に発生した、9月11日米同時多発テロをきっかけに、“ワールド・ピース・ヒロシマ”として、平和への取り組みを開始できたことは私の大きな財産となっている。
 考えることよりも、行動してみることの大切さを学んだ。
 今、広島に求められているのは、評論家ではない。背広を脱いで地域社会ときちんと向き合えることのできる市民活動家である。
 参加者の減少が会の魅力を体現していたが、そういう状況に陥っても参加を続けられた方々に共通していたのは、やはり、広島を何とかしたい、という信念だったと思う。この信念を結び付け、その信念が参加者を呼ぶことが出来れば、本当の意味においての“ひろしまパートナーシップ”が始まるのだ、と感じており、それは“ワールド・ピース・ヒロシマ”への期待でもある。

2003年2月28日(金) 前島 修(まえしま・おさむ)
              


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